米国地裁で特許無効の審理が行われている場合、同じ論点を提示したIPRがinstituteされるかどうかの判断要素について示した、米国特許庁審判部のorder (Apple Inc. v. Fintive, Inc., IPR2020-00019, Paper 11 (PTAB Mar. 20, 2020)) が5/5にprecedentialに指定されています。
以前の、NHK Spring Co. v. Intri-Plex Techs., Inc., IPR2018-00752, Paper 8 (PTAB Sept. 12, 2018) (precedential, designated May 7, 2019) では、裁判所のトライヤルの日がIPRの最終決定想定日よりも早いため、IPRで審理することは非効率であるとし、米国特許法314条(a)に基づいて、institutionが否定されました。
今回、Apple Inc.がprecedentialに指定されたことにより、そのようなIPRがinstituteされるかどうかは、Apple Inc.で挙げられている6つの要素を考慮に入れて審判部が判断するということになります。その6つの要素は以下の通りです。
- 裁判所が停止を認めたかどうか、あるいは訴訟が開始された場合に停止が認められる可能性があるという証拠が存在するかどうか。
- 裁判所のトライヤル日と、審判部の最終書面決定のために想定される法定期限との近さ。
- 裁判所および当事者による並行する訴訟手続への投資の大きさ。
- IPR 請願書で提起された論点と並行訴訟手続で提起された論点との重複の程度。
- IPRの請願者と並行する訴訟手続きの被告とが同じであるかどうか。
- 審判部の裁量の行使に影響を与えるその他の状況(請願者の主張の強さなど)。
これらの要素はある程度重なっており、ひとつの事実が1つ以上の要素に関係しているかもしれません。したがって、これらの要素を評価する場合は、審判部はシステムの効率性や統一性を全体的な(holistic) 観点で判断することになります。
なお、Cisco Systems, Inc., v. Ramot at Tel Aviv University Ltd. (IPR 2020-00122, Paper 15 (PTAB May 15, 2020)) では、Apple Inc. の要素を考慮して、IPRのinstitutionが否定されました。
by Mamoru Kakuda
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