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January 20, 2021by Mamoru Kakuda

AIAのpost-grant proceedingsにおける不明瞭性の基準について、2021年1月6日にUSPTOが通知を出しています。そこで、USPTOは、PGR、CBM、 substitute claims の審理におけるクレームの不明瞭性の基準はいわゆるNautilus基準を採用べきであることを明らかにしました。

従来、特許庁の審理で採用される特許法112条(b)のクレームの不明瞭性の基準は、AIAのpost-grant proceedingsも含めて、いわゆる Packard 基準と呼ばれるものでした。この基準においては、「クレームが意味がはっきりしない語やフレーズを含むときは不明瞭」と認定されます(In re Packard, 751 F.3d 1307 (Fed. Cir. 2014) (per curiam) 参照)。

しかし、米国最高裁は、Nautilus, Inc. v. Biosig Instruments, Inc., 572 U.S. 898 (2014) において、クレームの不明瞭性はNautilus基準で判断すべきであると判示しました。Nautilus基準においては、Packard基準と異なり、「クレームが、特許を規定する明細書および審査の履歴に照らして読まれた場合、合理的な確実性をもって発明の範囲について当業者に知らせることができない」場合に、不明瞭ということになります。

その後、USPTOは、Ex parte McAward, Appeal 2015-006416, (PTAB Aug. 25, 2017) において、USPTOにおける審理においては、クレームの不明瞭性の判断基準として、Packard 基準を採用し続けることを再確認し、この審決をprecedentialに指定しました。その理由は、USPTOは裁判所と異なり、クレーム解釈にbroadest reasonable interpretationを採用しているので、クレーム解釈と相互に関連する不明瞭性判断の基準についても当然異なってくる、というものでした。

しかしながら、2018年、USPTOはAIA のpost-grant proceedingsにおけるクレーム解釈の手法をbroadest reasonable interpretationから、地方裁判所で使用されるクレーム解釈手法に変更しました。この目的は、同時並行する手続きにおける、同じクレームの分析の一貫性と効率性を向上することでした。USPTOのクレーム解釈手法の変更により、AIAの post-grant proceedings におけるクレームの不明瞭性判断の手法について、混乱が生じていました。ある場合は、Nautilus基準で判断され、ある場合は、Packard基準で判断され、またある場合は、両方の基準で判断されていました。

今回、AIAのpost-grant proceedingsにおいて、Nautilus基準が正しいクレームの不明瞭性判断の基準であることが明らかにされたことにより、クレーム解釈の基準統一と相まって、同時並行する手続きにおける決定の一貫性と効率性が向上することが期待されます。

by Mamoru Kakuda

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