2020年6月22日、米国最高裁は、2020年3月2日のComcast v. ITC and Rovi CAFC判決に対する上告の請願(a petition for a writ of certiorari)を却下しました。
Rovi Corporation と Rovi Guides, Inc.は、2件の特許を侵害して米国関税法337条に違反しているとして、Comcast社をUSITC (米国国際貿易委員会) に提訴しました。
行政法判事(ALJ) は、Comcast社はその顧客による直接侵害を誘発(induce)しているとともに、ARRIS 社とTechnicolor 社がX1-set-top box を輸入しているが、Comcast社がそのデザイン、製造、輸入に十分に関与しており、337条の意味での輸入者といえると認定しました。委員会もその認定を維持(affirm)し、限定的排除命令を出しました。
Comcast 社はCAFCに控訴しました。控訴審で、Comcast 社は顧客による直接侵害があったこと、induced infringement (誘発侵害)があったことについては争わない一方で、以下の2つの理由で337条違反はない、と主張しました: (1) 輸入時には、X1 set-top boxは特許を侵害してない; (2) ARRIS 社、Technicolor社がX1 set-top boxを輸入した後に、Comcast社はX1 set-top boxの所有権を取得しているので、Comcast社は輸入者ではない。
CAFCは以下の理由でComcastの控訴を棄却しました。
一つ目のComcast社の主張に対しては、2015年の大法廷でのCAFC判決 (Suprema, Inc. v. U.S. Int’l Trade Comm’n, 796 F.3d 1338 (Fed. Cir. 2015) (en banc)) に照らして、たとえ輸入後に侵害が生じたとしてもX1 set-top boxは337条の意味での侵害品である、とした委員会の結論は正しいとCAFCは認定しました。
2つ目のComcast社の主張に対しては、Comcastを337条の意味での輸入者と認定した委員会の結論は、実質的な証拠に基づいており、法と先例に沿っているとCAFCは認定しました。
Comcastは、最高裁への上告の請願を提出し、そのなかで、(1) X1 set-top boxは、輸入時に特許を侵害していないにもかかわらず、委員会がX1 set-top boxを「侵害物品」認定したことは19 U.S.C. 1337(a)(1)(B) に照らして妥当か; (2) Comcastは実際の輸入を行っていないにもかかわらず、委員会がComcastが侵害しているとされる物品の「輸入」に責任があると認定したことは19 U.S.C. 1337(a)(1)(B)に照らして妥当か、という点を含む論点を提示していました。
今回の、最高裁による上告の請願の却下により、輸入後の侵害行為が米国関税法337条による排除命令の対象になる、ということが再確認されたことになります。
by Mamoru Kakuda
Mamo’s extensive background includes a tenure of over 20 years as an IP professional in a renowned Japanese chemical company. During this time, he developed an elite insight into Japanese companies’ operations and IP practices. Consequently, Mamo is esteemed for his astute counsel which guides his diverse clientele on their best course of action, obtaining patents effectively and efficiently.