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July 15, 2021by Mamoru Kakuda

2021年5月5日、CAFCは、特許権者の会社の社長の証言が虚偽であったことをを理由に、差し止め等の判決を破棄する判決を肯定しました (Cap Export, LLC v. Zinus, Inc. (Fed. Cir. May 5, 2021))。

Zinus社は組み立て可能なマットレス支持体で、搬送時にすべての部品をヘッドボードに収納可能なものに関する特許を所有していました。Cap Export社はZinus社に対して特許の無効と非侵害を主張してdeclaratory judgment を連邦地方裁判所に申請しました。Zinus社はCap Export社による特許侵害を主張して反訴しました。裁判中に、Zinus社の社長は技術専門家証人として、特許の公知例を存在を知らない旨の証言をしていました。地裁は最終的にCap Export社による特許侵害を認定し、Cap Export社製品の差し止めを認める判決を下しました。

判決後、Cap Export 社は、Zinus社の社長の証言が虚偽である疑いがあることに気づきました。すなわち、Zinus社が第三者であるClassic Brand LLC社を同特許を侵害するとしてと訴えた裁判において、中国のXiamen XinShunYang Industry and Trade Company (XXITC社)がヘッドボードの中の収納部内にヘッドボード以外のすべての部品を収納する形のベッドをマレーシアのWoody Furniture社に販売していたことが判明しました。Cap Export社はWoody Furniture社の代表と面会し、Woody Furniture社が特許の出願日前にZinus社の社長のサインでZinus社の韓国の販売代理店にそのベッドを販売していたことを確認しました。Cap Export社は、Zinus社の社長の証言は虚偽であり、米国民事訴訟規則60条(3)の救済(相手方の当事者の虚偽陳述等を理由とする救済)に基づき、判決の破棄を求めるmotionを地裁に提出しました。

問題になった証言では、Zinus社の社長は、ヘッドボードに収納されたベッドはもちろん、一箱に収納されて出荷されるベッドは出願日以前に見たことがない、と証言をしていました。米国民事訴訟規則60条(3)の審理において、Zinus社の社長は、証言は文字通りには正確ではなかったことを認めましたが、これはすべての部品がヘッドボードに収納されたベッドを見たことがないという意味であり、虚偽の証言をする意図はなかったと主張しました。

地裁は、これを認めず、証言では明らかに一箱に収納されたベッドと、ヘッドボードに収納されたベッドを分けて回答しており、Zinus社の社長は全く信じられなく、積極的な虚偽の陳述である、と判断し、米国民事訴訟規則60条(3)のmotionを認め、判決と差し止めを破棄しました。Zinus社はCAFCに控訴しました。

CAFCでは、以下の理由で地裁の判断を肯定しました。

    1. 米国民事訴訟規則60条(3)による救済の申立は合理的な期間内に行わなければならず、判決の日から1年以内に行われなければならないが、その要件は満足している。
    2. 第9巡回区の判例によると、米国民事訴訟規則60条(3)による救済は訴訟前または訴訟中に適切な注意を払っても(デューデリジェンス)不正行為を発見できないことを要件としており、この要件には疑問があるが、ここではそれに従う。この点について、Zinus社は「Cap Ex-port社の弁護士が適切な注意を払い、特許訴訟のための標準的な文書提出要請を行っていれば、Woody社の出荷に関連する電子メールは発見されていただろう」と主張しているが、不正を疑う理由がなければ調査を行わなくとも、不正発見のためのデューデリジェンスの条件を満足する。そして、記録からみて、Zinus社の社長の証言が虚偽であったことを疑う理由があったことは示されていない。
    3. Zinus社はZinus社の社長の虚偽証言は意図的ではなかったと主張しているが、「2016年の供述の時点で、2011年から2013年の間の購入を完全に忘れていたことはまずありえない」、と地裁が判断したことに明確な誤りはない。
    4. ベッドの購入に関する証拠はCap Export社の主張にとって重要ではなかった、または虚偽の陳述にも関わらず、Cap Export社が十分に議論を行うことができたという主張をZinus社はしていない。
    5. また、Zinus社の社長が、自分のビジネス関係について語る際に、Zinus社の韓国の販売代理店についての言及を省略することで、断定的な虚偽の陳述を行ったという地裁の認定に明らかな誤りはない。
    6. 以上により、連邦地裁が、虚偽の陳述によってCap Exportが十分かつ公正に訴訟を行うことができなかったと判断したことは、その裁量を逸脱していない

本件は訴訟当事者の証言の正確性が重要であることを改めて示している、といえます。

by Mamoru Kakuda

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