米国特許では、クレームのプレアンブル部分に記載さ入れたintended useは、原則として、クレームの限定要素とはみなされません。しかしながら、それがないとクレーム本体が成り立たないなどの、特別な事情がある場合は、クレームの限定とみなされる場合があります。
2020年6月25日、米国CAFCは、Shoes By Firebug LLC v. Stride Rite Children’s Group において、類似した2つの特許のうち、一方はクレームの限定とみなし、他方はクレームの限定とみなさない、という判示をしました。2つの特許のクレーム1はそれぞれ以下のような構成になっていました。
- An internally illuminated textile footwear comprises: a footwear; the footwear comprises a sole and an upper; an illumination system ….
……………………..
- An internally illuminated textile footwear comprises: a sole and an upper; an illumination system; the illumination system comprises a power source and a plurality of illumination sources; … the illumination system being housed within the footwear; and ….
最初の特許に関して、CAFCは、プレアンブルのtextileという語はクレームの限定にはならないと判断しました。本体部分に footwearという積極的な限定が記載されており、クレーム本体にはfootwearに特別な材料を使うという明示の限定も、発明にとってtextileであることが必要であるという示唆もないためです。
一方で、2番目の特許に関しては、CAFCは、プレアンブルのtextileという語はクレームの限定になると判断しました。本体部分でfootwearという語が導入されるのではなく、プレアンブルで導入されたfootwearという語を本体部分のantecedent basisとして使用しているためです。裁判所は、antecedent basisだけで、プレアンブルがクレーム限定になると決定するわけではないということを認めつつも、プレアンブルに含まれる言葉 (ここでは、footwear) をクレーム本体で積極的に限定しているので、プレアンブルがクレームを限定するという発明者の意図を明らかにするものであり、クレーム本体の構造限定の理解にプレアンブルが必須のものになっている、と判示しました。
本件では、最終的に審判部のobviousの結論は変わりませんでしたが、審査中にプレアンブル部の限定をクレーム限定としてみるかどうかの判断に参考になる判決であると思います。
Judges: LOURIE, MOORE, and O’MALLEY
by Mamoru Kakuda
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